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お父さんのバックドロップと悪玉
なんなんでしょうね、突然やって来るなんて。
ウチは急な来客には対応出来ないんですよ!
ねずみ色のゆき雲ガウン着た、冬将軍さん。
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ゾクッとした瞬間から鼻水が止まらない。もしやこれは間違いなく風邪ですか。
仕事も食事も朦朧としてきました。湯たんぽ抱えて、文庫1冊。

『お父さんのバックドロップ』中島らもさんが子供向けに書いた
色んなクセのあるお父さんが登場する4つの短編小説。
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あっという間に読めてしまえるけれど、何度読んでも声を出して笑ったり
ハラハラしたり、涙なのか鼻水なのかあふれてきたり。

らもさんの文章や言葉の選び方は、面白おかしいようで嘘が無い。
悪役プロレスラーの牛之助を父に持つ、下田君の家に遊びに行った主人公が
八百長について、素朴に質問した時の牛之助の答えは
ナルホド!真意を突いていて納得できるし、誰もイヤな気持ちにならない。
曖昧な会見ばかりして、見てる側をゲンナリさせる
相撲協会の人達に、是非この本を読んで欲しいものだ。


3



そして、キリンジの『悪玉』を聴く。
本人がそう思って作ったのかどうか、定かじゃないけれど、
この『お父さんのバックドロップ』の世界を
淡々と見事に表現している。
この曲を作った堀込兄弟の兄は、きっとちょっとクセのある
お父さんなんだろうなー。

らもさんとキリンジ・・・。風邪は治るかしら?



お父さんのバックドロップ (集英社文庫)
中島 らも
by kohakuza | 2008-11-20 03:31 | Books
リリー・フランキー著「ボロボロになった人へ」
ふと見たら「ボロボロ」が三連発。
あんまり使う事ない言葉のせいか3つ揃うと何故か嬉しい。
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リリー・フランキー著の短編集「ボロボロになった人へ」

日常の濁った水溜まりに、気が付けば足を取られて
もがく人達。グロテスクな表現やブラックユーモアを交えながら
そんなどうしようもない人達を、愛おしく描く物語。

著者は色んな分野で注目される人だけど
どこか自分を信用しておらず、人生の暗転を冷ややかな
視線で見つめてるような気がする。




ボロボロになった人へ
リリー・フランキー
by kohakuza | 2008-07-22 17:11 | Books
L'heure Bleue
肥後橋のルール・ブルーへ。
何回か予約の電話を入れては振られっぱなしで
以前からお店の前を度々通る物の、初めて小さいドアをくぐる事になった。
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入ってみると意外と奥までつづく広さ!カウンターがメインのようだが、椅子が大きめで
ゆったりできるので、狭いイメージは感じない。
前菜やスープ、メインの鴨などなど、どれも美味しかったです♪
店内のインテリアもお洒落とは思えないけど,何か安心する。
お料理も、オーソドックスなスタイルなんだけど、何か安心する。
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リラックスして、お料理が堪能できるのは
シェフのにこやかな表情とお人柄かな。
いいタイミングでお料理の事など説明してもらい、満足満足な夜。
また是非予約をとって行ってみたい。

L'heure Bleue(ルール・ブルー)
大阪府大阪市西区江戸堀1-19-2
06-6445-3233
11:30〜14:00/18:00〜22:30
定休日/日曜日

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それにしても最近は、どこのお店もオープンキッチンが多いので、
話しをしてても、ついついお客の目線はシェフの仕事を追う事になる。
リズミカルにお仕事してる姿を見ると楽しくなって、友人との会話もワインもお料理も
すすむだろうなーと思いつつ、逆のパターンもあるかもしれないと思うと
シェフも大変だなーと思った。
シェフはお料理しながら、ある程度はお客が望む「Theシェフ」を演じる事も
必要になってくるのだ。
ちなみにあくまでも私のイメージだけど、私の知ってる料理人は
料理以外はかなりハチャメチャでムラ気があるが
人間味のある人が多いような気がする。
善人だからって美味しい料理は作れないもの。

ハリー・クレッシングの『料理人』 は、いつも100%のお料理を!最高のサービスで!と望む人には
お薦めできないけど、悪魔的な魅力を持つシェフを知りたい人には面白い作品かも。
随分昔の小説だと思うけど、いつ読み返しても傑作です。
by kohakuza | 2008-07-17 19:24 | 美味しいモノ
ミスタ・サンダーマグ
遠くに行く前には、とりあえず駅の書店で本を探す。
そこで目に飛び込んで来たのは、この不適なヒヒの顔。
コーネリアス メドヴェイ著 『ミスタ・サンダーマグ しゃべるヒヒの話』 
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薄いハードカバーで、あっという間に読めてしまう本は何か勿体ない気がして
中々買えないのですが、著書の名前がコーネリアス・メドヴェイ?
え?コーネリアス(猿の惑星)が書いてるヒヒの話し?と、勝手に面白がって購入。

ある町に、突然現れた言葉を話すヒヒ、ミスタ・サンダーマグ。
彼がどうやって言葉を操るようになったかは、いくつかの推測は出来るものの謎。
町が何処なのかも、詳しくは分からない。身近な知ってる町のようにも感じられる。
が、とにかく何もかもが霧の中。

ミスタ・サンダーマグは家族と廃墟のような家に住み着くのですが
だからと言って、町が大騒ぎになったりしない。
住人達は、彼らを温かく迎えもせず、騒ぎ立てもせず
けれど次第に静かな波紋が広がっていく。
断章を集めたスタイルで淡々と進みながら、ミスタ・サンダーマグの人物像(?)が
とても人間らしく思え、無関心であったにも関わらず
ちょっとしたルールを犯した事から(それもかなりこじつけな)
騒ぎ立てる住人達は猿の群のよう。

ミスタ・サンダーマグが霧のような謎の中で、誰と重なって見えるのか?
それは読み手しだいかもしれない。
そこに自分の心の闇を突かれるような気分にもなって、恐ろしくもある。
見えてるくせに、脳が勝手にスルーしてる物は沢山あるのだから。

ただ読み終わってみると、とても愉快で不思議。
ミスタ・サンダーマグに、うっかり惹かれてしまってる。
中国語の修士号を取得し、中国詩の翻訳もしてる著書のせいか
ミスタ・サンダーマグは、どこか中国の哲学者のようにも感じる。

ちなみにMR THUNDERMUGって「オマル」って意味なんだとか。




ミスタ・サンダーマグ しゃべるヒヒの話
コーネリアス メドヴェイ
by kohakuza | 2007-10-11 03:56 | Books
梨木香歩 著 『家守綺譚』
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何か良い本がないかなーと書店に寄って、ふらりとジャケ買い。
装幀画が神坂雪佳・・・だもの。
琳派の日本画家でありながら、モダンな構図で工業デザイナーとしても
名を残した神坂雪佳の作品は最近ひっぱりだこだ。
そう言えば昨年のT島屋のお歳暮かなんかのポスターにもこの「雪中竹」が
使われてたような。
とにかく目を引く、カワイイ雀です。

さて、装幀もいいけど『家守綺譚』の作品は更に良かった。
薄い短編集だけど、それぞれの話しが上手く交差されてて読み応えもしっかりと、心に残る。
私にとっては初めての梨木作品となったけど、今後他の作品も読んでみたい。

物語は、ほんの百年前、文明の進歩とやらに今ひとつ乗り遅れている
駆け出しの作家の綿貫征四郎が、彼の早生した友人の実家を『家守』する事から
始まる。その家にまつわる庭、樹、小鬼、草花、河童、犬、人魚など
今となっては、おとぎ話にしか出てこない面々の精霊のような者達と
飄々と触れ合っていく。樹に想いを寄せられたり、掛け軸の中の小川から
ボートの舳先が出て来たり、河童と鷺の仲裁をする犬がいたりと、不思議なようで
まがまがしくなく、サラリと書いてる所が良い。
まるで自分家のベランダにも小鬼が住んでても可笑しくないように
自然に楽しく気持ちよく読みすすめられる。

四季折々の庭の風景が、見えてきて
昔は人と家と庭の心が近く、魂の存在感があったんだなと思った。

細かい場所の設定は無いけど、多分京都の疎水べり辺りだろうか。
読んでるうちに琵琶湖がとても見たくなった。




家守綺譚
梨木 香歩 / 新潮社
by kohakuza | 2007-05-12 00:29 | Books
伊坂 幸太郎 著 『オーデュボンの祈り』
9月になっても早々に涼しくなんかなるものか!と思ってたけど
このところ、日中は暑くても夜はひんやりとすっかり秋。
こうなってくると、そろそろミステリーが読みたくなってくる。
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そんな訳で選んだ理由は相変わらずの装幀にビビッときた『オーデュボンの祈り』
読み終えて、ゾクゾク〜っと。
本の内容が怖いからって訳ではありません。
久々に出会うスゴイ作家の予感です。
何も知らずに読んだけど作家、伊坂幸太郎氏のデビュー作でした。

(ストーリー)
コンビニ強盗に失敗し逃走していた伊藤は、気付くと見知らぬ島にいた。江戸以来外界から遮断されている“荻島”には、妙な人間ばかりが住んでいた。嘘しか言わない画家、「島の法律として」殺人を許された男、人語を操り「未来が見える」カカシ。次の日カカシが殺される。無残にもバラバラにされ、頭を持ち去られて。未来を見通せるはずのカカシは、なぜ自分の死を阻止出来なかったのか?卓越したイメージ喚起力、洒脱な会話、気の利いた警句、抑えようのない才気がほとばしる!


喋る案山子?まるでファンタジー?なんて言葉で全部が片付けられそうな設定なのだが
読んでみると、明日にでも自分に降りかかるような惨い恐怖感が潜んでる。
このシュールで非現実的な世界観を完全に言葉で表現して、バラバラなキーワードが
最後に繋がっていくのは圧巻。
他の作品もどんどん読んでみたいです。

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さて、話しは変わってこの本の装幀の彫像作家は三谷龍二さん。最初にジャケ買いしたベルンハルト・シュリンク著の
「朗読者」の装幀も手がけている。
伊坂作品では「重力ピエロ」「ラッシュライフ」、も三谷さんの装幀。松本市で木工家として木の器を作っていらっしゃる。
いつか欲しいな〜と狙っている漆仕上げの「黒い器」

彫像も器にも独特な時間が流れてて、色んなストーリーが聞こえてきそうです。


三谷龍二の「木の器」オフィシャルHP

オーデュボンの祈り
伊坂 幸太郎 / 新潮社
by kohakuza | 2006-09-07 21:14 | Books
奥田英朗 著 『イン・ザ・プール』
8月も終わりに近づいて来たとはいえ、夏はまだまだ終わりそうにない。
こう暑いと、こ難しい本なんて読みたくないよ〜
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そんな訳で涼しげな装幀と『イン・ザ・プール』という言葉に誘われて、この本を読むことに。

ストーリーは熱帯夜にピッタリのシンプルな運び。
総合病院の地下にある神経科の、伊良部はトンデモない医師。
そこに送られて来る水泳中毒、ケータイ中毒、持続勃起症…などなど変な病気に悩む患者。
一話完結になっているので、読みやすい。

この伊良部医師、かーーなりの変人で非常識、精神年齢5歳、注射マニア、マザコン
しかもデブでこの総合病院の息子(だから金持ち)。看護婦は露出狂?
ここに診てもらいにやってくる患者の方が、どう考えても普通に見える。
そう、患者の方が至極真面目に生きて来た人達で、色んな社会のルールを守ってきて
キチンと生きて来たはずなのに、少し心や身体に異常が出てしまった人なのだ。

そんな人に比べて、超非常識さを隠しもせず欲望の赴くままに行動する
伊良部の姿が読み進めるうちに、何とも愛すべき存在になってくるから不思議。

でも、願わくばこんな先生にお世話にならない事を心から祈ってしまう。

この本を読みおえたら、単純ですが何だか無性に泳ぎたくなったので
近くのプール&スパに行って、2時間程ひたすら泳いだり歩いたり、
「自分の身体も水の詰まった袋のようなもんだな〜」と思いながらプカプカ浮かんだりした。

その後のスパで、ふとアカスリお姉さんと目が合う。
(それにしても、どこのアカスリのお姉さんもユニフォームはあの黒ブラ&パンツなのかな?)
普段あんまり肌が強くないので、やってもらわないけど今回はお願いする事に。
1キロぐらいは落ちたのでは・・・?と思うぐらい、アカを落として
身体も気分も、スッキリでした。

当分は伊良部先生のお世話にならずにやっていけそうだ。



イン・ザ・プール
奥田 英朗 / 文藝春秋
by kohakuza | 2006-08-24 22:56 | Books
岩井志麻子著「ぼっけえ、きょうてえ」
何だか、うなされてたような気がするな〜。
暑さと寝苦しさで目が覚めたら、丑三つ時。真っ暗なリビング。キャ〜
うたた寝のつもりがすっかり寝込んでしまったみたいだ。
この真夏のまとわりつくような暑さに目が覚めると今度は中々寝付けない。
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岩井志麻子著の「ぼっけえ、きょうてえ」を書店で目にしたのはもう随分前の事。
あまりに装画(甲斐庄楠音)のインパクトと言葉の不思議さに目が釘付けになってしまった。
いつもなら、取りあえずジャケ買い!のはずだが、どうもこの本の中から異様な
空気が流れてきてる。「ぼっけぇ、きょうてえ」とは「スッゲー怖い」って意味だったのだ。
短編だったのでそのまま書店で立ち読み、全部読まなくても独自の方言の語りかけが
とてもオッソロシーかったので、結局その日ビビリの私は購入しなかった。

さてその数年後、私は仕事で岡山に訪れる事になり
ふと、岡山と言えば・・・・?「桃」・・・じゃなくて「ままかり?」でもなくて・・・・
岡山と言えば?・・・・・「ぼっけぇ、きょうてえ」!?と突然思い出し、
今度はいつもの古書店にて勇気を出し、購入することになった。
中身は期待以上の恐ろしさ。ホラーの賞を取ったらしいが、これは間違いなく怪談だ。

教えたら旦那さんほんまに寝られんようになる。…この先ずっとな。
時は明治。岡山の遊郭で醜い女郎が寝つかれぬ客にぽつり、ぽつりと語り始めた身の上話。残酷で孤独な彼女の人生には、ある秘密が隠されていた…。
岡山地方の方言で「とても、怖い」という意の表題作ほか三篇。


三篇に共通して、古い因習や差別感、迷信、悪習など今の日本がフタをして
表面化されていないが、今の時代にも確実にあるだろうタブーを包み隠さず書いている。
著者はこの時代の人間だろうか?と思ってしまう程、あっけらかんと書かれているのだ。
(と思ったら、現代に生きる彼女もタブーのパンチドランカーみたいな人でしたが)

ただこの本、人によっては顔をそむけたくなるような描写の連続なので
万人にはお薦め出来ない。私の友人にも、いつものように「返さなくていいよ〜」と
軽く差し上げたところ、「家に置いてたら怖い」と言って、即帰って来た。
岡山出身の岩井志麻子さんの他の作品も同じようなテーマの怖い小説が沢山出ているが
私はこの「ぼっけえ、きょうてえ」が一番怖く、短く、濃いと思う。

三池崇史監督、主演の工藤夕貴で映画化された『インプリント 〜ぼっけえ、きょうてえ〜』
全米公開が前提で、何とっ、セリフは全部英語!ちょっと観てみたい気はするが
本を読んで受けた恐怖感には、かなわないだろうなー。

それにしても岡山って、ミステリアスな場所である。
そう言えば横溝正史の「八つ墓村」も設定も元になった事件も岡山だったな〜。
山深い地域の緑は濃くて、日の明るさと対比してどこか神秘的で
私は大好きな地だけれど、その光と陰が色んな作家に恐怖のイマジネーションを
沸かせる理由の一つだと思う。

8月の眠れない夜に読むと、増々眠れなくなる1冊です。




ぼっけえ、きょうてえ
岩井 志麻子 / 角川書店
by kohakuza | 2006-08-12 04:34 | Books
いしいしんじ著 『トリツカレ男』
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ジョゼッペはみんなからトリツカレ男ってあだ名で呼ばれてる。
一度何かにとりつかれちゃうと、もう、ほかのことにはいっさい気がむかなくって、
またそのとりつかれかたが、そう、ちょっと普通じゃないんだな。


このヘンテコな一文を読むだけで、「ぬぬぬ?!」と、その世界に惹き込まれてしまう。

ジョゼッペは何かに夢中になると、寝ても覚めてもそればかり。オペラ、三段跳び、サングラス集め、潮干狩り、刺繍、ハツカネズミetc.そんな彼が、寒い国からやってきた風船売りに恋をした。彼女にすっかりとりつかれたもんだから、彼女のこころのくすみが見えちゃうのだ。そしてそのくすみを消し去ることにとりつかれてしまう。

私の知人に、このトリツカレ男のジョゼっぺにそっくりな「トリツカレ少年M」がいる。
彼はいたってマイペース、例えば鳥や昆虫の学名だったり、クラッシック音楽だったり、お琴だったり、シルバニアファミリーやレゴブロックにもトリツカレてた。
知らない人はそのトリツカレ方に少々驚くが、本人もお母さんも周りの人達も、
このトリツカレ少年を見守り尊敬していて、彼はジョゼッペと同じくとっても人気者なのだ。

この作品の中に登場するハツカネズミが

「なにかに本気でとりつかれるってことはさ、みんなが考えてるほど、
ばかげたことじゃないと思うよ」

ジョゼッペ:「そうかい?」

ハツカネズミ:「そりゃもちろん、だいたいが時間のむだ、物笑いのたね、役立たずの
ごみでおわっちまうだろうけど、でも、きみが本気をつづけるなら、いずれなにかちょっとしたことで、むくわれることはあるんだと思う。」


などと、いかしたセリフを言う何気ないシーンがあって、
何だかジーンとして勇気がわいて来る。
この本の中には大筋よりも、一文でノックアウトされちゃう魅力がある。
他にも「氷の上で守る3つの約束」など。
小説でも童話でも絵本でもなくて、そのどれでも当てはまる。

トリツカレ少年Mにもこんなハツカネズミがそばに居たらいいのになぁ、
そしてペチカが表れたらもっといいのになぁ
と、思ってしまった。

今度、彼にこの本をお薦めしてみよう。



トリツカレ男
いしい しんじ / 新潮社
by kohakuza | 2006-08-02 01:32 | Books
重松 清 著 『流星ワゴン』
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「流星ワゴン」て題名もファンタジックだし、何よりこの装幀デザインは素敵だ。

いくら帯には「ひきこもり、暴力をふるう息子。浮気を重ねる妻。会社からはリストラ寸前……死を決意した37歳の僕は、死んだはずの父子が運転する不思議なワゴン車に乗り込んだ。」

などと説明が書いてあっても、最後はメデタシメデタシなんじゃないかな?って甘く見てました。
ところがところが、この小説こんな非現実的な設定にも関わらず、もの凄くリアルなのです。
かと言って、自分と境遇を重ねられると言うのとは違うけど、これも「ゆれる」と同様に家族、
父親との関係がテーマになっています。

37歳の男がリストラされ、家族もバラバラ、不仲で死期の迫った故郷の父親に
足代と言う名目の小遣い目当てに見舞いに通う。

こんな状況で人生の何もかもが元には戻らない時、
「自分のどこがいけなかったのだろう?」
と誰もが何度も自問自答します。
「どこでやり直せればよかったのか?」
その決して戻せない「人生の転機」に主人公はワゴンに乗せられて立ち戻ります。
主人公は色々な事に気付くのですが、これはあくまでも
非現実的な世界なので現実では無い。未来は変わらないのです。
そこがこの作品のリアルさだろうか。
変えられないのであれば、一体何の意味があったのか?

「気付くこと」によって見える景色は変わるのだと思う。



私の見えてる景色はどうなんだろう?


流星ワゴン
重松 清 / 講談社
ISBN : 406274998X
by kohakuza | 2006-07-31 01:08 | Books