サンタが家にやって来た日
私がまだ私じゃない程小さかった頃。
つまり生まれて2〜3年ぐらいのクリスマスの話し。
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我が父は経済力はからきし無かった物の、いわゆる江戸っ子気質なのか
時々思わぬ思いつきを、景気よくして子供達を喜ばせようとしてくれた。
(根っからの関西人ですが)

あるクリスマスの夜・・・
ピンポーン!とドアのチャイムが鳴ると、父母が「はぁ〜いちょっと待ってー」と
言いながら、慌てて部屋の電気を全部消し
レコードのクリスマスソングの音を上げた。
家にはクリスマスツリーのチカチカする電飾だけが輝いていた。

ドアを開けると『メリィ〜クリ〜スマ〜ァ〜ス!!』と
どこから出してるのか分からないような外人なまりの声で
サンタクロースが立っている。
私達兄弟は奇声をあげて喜んだ!とにかく前後不覚になるぐらい喜んだ!

サンタは玄関で靴を脱ぎ、
綺麗に包装されたプレゼントを持って来て、一つずつ手渡してくれた。
包装の表には、ちゃんと○○番地○○号○○ちゃんへとボールペンで名前が書いてある。
今で言うクリスマスカードじゃなくて、直に書き込まれていた。
サンタは頭をなでたり、時々モゴモゴ何か言ってたようだけど
そこはハッキリとは覚えていない。

そして仕事を終えたサンタは、そそくさと玄関へ引き返そうとしたが
何せ家が狭い上に、真っ暗なので躓いた。
慌てた母が「すいませんねぇ〜」と言って、玄関の電気をパチッとつけた。

すると玄関にかがんで、自分の靴を探しているサンタの全体像が
私の目に飛び込んで来た。
赤と白の衣装の、かがんだ背中の腰のところから
腹巻きとズボン下のラクダ色が見えていた。

私のギンギンに見つめる視線に気付いたサンタは
早く家から出なくては!と慌てまくった。
そして靴を何とか半分履いて、ドアを開けてニッコリ笑って父の方を振り返った。
父母は「ありがとうございます!ご苦労さ〜ん!」とニコニコしてる。
サンタはホッと大役を果たしたような表情で

『まいど、おおきにー!』と言って、ペコリとお辞儀してドアを閉めた。

しばしの沈黙。

・・・・その後、興奮冷めやらぬ家族は
鶏のモモ焼きやオムライスやバタークリームのケーキを食べて
楽しいクリスマスは終わった。

私はその夜、『あの声は商店街の、オモチャ屋のおっちゃんやったな〜』と
冷静に思いつつ、『来年はホンマのサンタさんが、来てくれはりますように。』と
お願いして、鼻まで布団を引っ張って、ぐっすりと眠った。


三つ子の魂百までと言うけれど
このクリスマスのちょっと笑える出来事は、
電飾の色や、サンタの衣装の質感などすべての1シーン1シーンが
何故か自分でも驚く程ハッキリと覚えている。

そして、あの『まいど、おおきにー!』が
今でも、私にとっての一番リアルなサンタの声なのだ。
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by kohakuza | 2007-12-15 16:28 |


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