『非現実の王国で ヘンリー・ダーガーの謎』
ヘンリー・ダーガーについて、何と説明するのが一番適切なのか?
1973年に死亡後、発見された彼の残した膨大な料の作品に急速に評価が高まるものの、
彼自体は余りにも孤独な老人のまま亡くなってしまったので、その私生活は謎ばかり。
だから誰も本当のところ、この作家を説明出来ていない。
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この映画は、そんな「ダーガー」なのか「ダージャー」なのか「ダージャァ」なのか
名前の呼び方さえ、ハッキリとは分からないヘンリーの孤独な生涯と
40年間暮らしたアパートの部屋で誰にも知られず創作し続けた
「非現実の王国で」と題した15,000ページを超える小説の原稿と
数百枚の挿絵を、パズルのように繋ぎ合わせて作ったドキュメンタリー映像。
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数年前から、紹介されるようになった、ヘンリー・ダーガーについては、
とても興味を持っていたので、彼の特集が組まれた美術誌などは読んでいたけれど
実際、絵を見てみると、どうも「アウトサイダーアーティスト」という呼び名に
違和感を感じてしまう。

彼が孤独で貧しい老人であった事、誰とも接触したがらず、環境の変化も好まず
作品が死後に評価された事などばかりがクローズアップされると、
誰にも評価されず死んだ、不幸な作家のように思うけれど
この圧倒的なパワーや色使い、そして少女でありながらペニスをつけて
子供たちを救うために立ち上がった純真無垢な7人の少女ヴィヴィアン・ガールズと
子供を奴隷にし虐待する邪悪な大人の男たち グランデリニンとの激しい戦闘を、
壮大な叙情詩として描き上げたのですから
ダーガー自身は、空想の王国の中で非常に幸福であったと思います。

常識的な幸せの概念も、美術評論家の評価も
彼の爆発的な、内なる創造性を邪魔する事は無かったのですから
彼の心も作品も本当に自由だったんじゃないかな。

だけど一つだけ、もし彼が犬を飼う事が出来ていたら
この作品群も人生も変わっていたのかもしれないなー。
あの隣人の犬とのエピソードが、唯一の
ダーガーと現実世界との境界線だったような気がします。



『非現実の王国で ヘンリー・ダーガーの謎』HP



ヘンリー・ダーガー 非現実の王国で
ジョン・M. マグレガー
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by kohakuza | 2008-04-11 00:56 | cinema


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