梨木香歩 著 『家守綺譚』
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何か良い本がないかなーと書店に寄って、ふらりとジャケ買い。
装幀画が神坂雪佳・・・だもの。
琳派の日本画家でありながら、モダンな構図で工業デザイナーとしても
名を残した神坂雪佳の作品は最近ひっぱりだこだ。
そう言えば昨年のT島屋のお歳暮かなんかのポスターにもこの「雪中竹」が
使われてたような。
とにかく目を引く、カワイイ雀です。

さて、装幀もいいけど『家守綺譚』の作品は更に良かった。
薄い短編集だけど、それぞれの話しが上手く交差されてて読み応えもしっかりと、心に残る。
私にとっては初めての梨木作品となったけど、今後他の作品も読んでみたい。

物語は、ほんの百年前、文明の進歩とやらに今ひとつ乗り遅れている
駆け出しの作家の綿貫征四郎が、彼の早生した友人の実家を『家守』する事から
始まる。その家にまつわる庭、樹、小鬼、草花、河童、犬、人魚など
今となっては、おとぎ話にしか出てこない面々の精霊のような者達と
飄々と触れ合っていく。樹に想いを寄せられたり、掛け軸の中の小川から
ボートの舳先が出て来たり、河童と鷺の仲裁をする犬がいたりと、不思議なようで
まがまがしくなく、サラリと書いてる所が良い。
まるで自分家のベランダにも小鬼が住んでても可笑しくないように
自然に楽しく気持ちよく読みすすめられる。

四季折々の庭の風景が、見えてきて
昔は人と家と庭の心が近く、魂の存在感があったんだなと思った。

細かい場所の設定は無いけど、多分京都の疎水べり辺りだろうか。
読んでるうちに琵琶湖がとても見たくなった。




家守綺譚
梨木 香歩 / 新潮社
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by kohakuza | 2007-05-12 00:29 | Books


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