グエムル-漢江の怪物
何故か酷評が多いらしい『グエムル-漢江の怪物』観てきました。
確かにモンスターやパニックムービーを観に行こうと思って足を運んだ人には
ちょっと肩すかしかも?でも視点を変えて家族をテーマにしたヒューマンホームドラマと思えば
ユーモアと狂気、登場人物の細かい描写など、さすがの『殺人の追憶』の
ポン・ジュノ監督です。面白いです。(以下ちょっとネタバレ)
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(ストーリー)
ソウル市内を流れる川、漢江のほとりで売店を営む一家がいた。家長ヒポンの長男カンドゥは、いい大人なのに店番すら頼りにならないが、娘のヒョンソを愛する気持ちは人一倍強かった。行楽客でにぎわうのどかな午後、人だかりのする方へ行ったカンドゥンは、橋にぶら下がり、うごめく大きな”何か”を目撃する。そして”何か”は土手に這い上がり、あっという間に人々を襲って喰い始めた。そして逃げる途中、娘のヒョンソはその怪物にさらわれてしまう。その夜、一本の電話がカンドゥンにかかってきた。「おとうさん、助けて…」。


多分、映画の前宣伝の仕方がいかにもハリウッド的パニックアクションエンターティメント!!
なのが間違いなのではないかしら?イヤ、間違いです。


予告ではグエムル(怪物)は謎の怪物?というような
得体の知れない怪物への恐怖をテーマにしてるように思えますが、
本編では冒頭に軍の霊安室が出てきてアメリカ人の医師が化学物質を排水溝へ流せと、
無責任に命令して漢江に流れ込み、数年後グエムルが生まれると言う、
ものスゴーク安直な設定。(多分、ここでヤバイと思う人は多いはず)
そして川縁でのどかに過ごす大勢の人達を、真っ昼間からイキなりガンガン襲います!
もちろんこの時、怪物は完全に姿を現してます。あらら?何か見た事あるカイブツ?

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・・・・と、こう書いてしまうとこの映画はダメなのか?と言うと、全然そうじゃありません。
主人公の家族の長男カンドゥ(ソン・ガンホ)は父が経営する猫の額程の売店の店番でさえ
満足に出来ず居眠りばかりだが、一人娘のヒョンソ(コ・アソン)を溺愛してる。
そしてグエムルが現れた時、娘の手を引いて逃げたはずが間違って違う女の子の手を引いてしまい、ヒョンソは目前でグエムルにさらわれてしまう。
ヒョンソが死んだと葬式会場で集まる家族は、感情むき出しに泣いて罵りあうのだが
悲しいはずの場面が、何故かこの家族を見てると悲しめない。
家族全員がどこか滑稽でとことん頼りない。

そんな家族がヒョンソが生きてると知った時、軍や警察を敵に回して無謀にも救出に向かう。
阻んでも阻んでも誰にも止められず、ただ自分達のやれる方法のみを信じて突き進んでいくのです。

まったくヒーロー向きじゃない家族を演じてる役者陣の演技が、この映画を支えている。
家族もそうだけど、例えば弟の携帯電話会社の先輩なんてスパイス効いてます。
もしも一人でも隙があったら、この映画は本当にB級になり兼ねない危険をはらんでる。
最後にイエローガス作戦?とか言って、漢江に細菌撲滅ガスを撒こうとするところなんて
「そんなアホな〜」と叫びそうになる。

しかしそんな怪物を殺すようなガスを同じように浴びても、ただただ自分達のやれる、信じる方法のみ(火炎瓶やアーチェリーなど)で真剣に怪物に挑む彼らの演技には引き込まれてしまう。
矛盾とか滑稽さとかを吹き飛ばす力があるのだ。
片方で安直な設定、片方では迫真の演技、そのアンバランスさが私には面白かったし
監督の狙い通りかもしれない。音楽の雰囲気でそんな風に思いました。


『グエムル-漢江の怪物』オフィシャルHP
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by kohakuza | 2006-09-14 15:43 | cinema


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