『おばあちゃんの家』
お盆です。
父方の祖母は真っ黒に日焼けして田舎の海で泳ぐ私に「女の子はキレイにしとかないけん。」
と、いつも言ってくれていた。祖母はいつも真っ黒に染めた髪をキチンと結い上げ、着物をちゃんと着ていた。母方の祖母は絵を描いたり、縫い物が得意で、よく色んな物や洋服なんかを手作りしてくれた。二人で美術館へもよく行って、ジョナサン・ボロフスキー展などちょっと難解な芸術作品にも、楽しそうにつき合ってくれた。
そんな二人の祖母は、既にそれぞれ極楽浄土と天国へ旅立ってしばらくになる。
今日、二人は実家に帰ってるのかしら?
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この映画を観たとき、何の前振りも無く観たので、最初はドキュメンタリーかと思った。
主人公のおばあちゃんは、イ・ジャンヒョン監督が「何となくそこへ行ったら理想のおばあちゃんがいるような気がした。」との直感を頼りに中部・永同郡の山里でこのおばあちゃんに出会ったらしい。直感でと言うよりは、神様が「ここにいてるわよ〜」と教えてくれたのだろう。
このおばあちゃんはどんな女優さんよりも、心に残る人だった。
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(ストーリー)
母親に連れられて、ソウルから田舎に住むおばあちゃんの家に来た少年サンウ。読み書きができないおばあちゃんとうまくコミュニケーションがとれず、また不自由な田舎の生活に苛立つサンウだったが、どんなワガママに振る舞っても怒らず、サンウのために一生懸命のおばあちゃんのやさしさに、彼も心を開いていく。
ゆったりとした田舎の時間、みんなが家族と言わんばかりの親切な田舎の人々、そして語らなくても十分に伝わるおばあちゃんの深い愛情が、心にジンワリ染みわたる。おばちゃんを演じたキム・ウルブンはじめ、サンウ以外のキャストはほとんど素人。役作りなしの自然なたたずまいが、この映画を成功に導いたといっても過言ではない。



このワガママな都会育ちのサンウを見ていると、途中何度も頭をはり倒してやりたくなるのは、
私だけじゃないはずですが、どこのおばあちゃんも多かれ少なかれこんな孫の傍若無人さに
キリキリ舞いさせられてるんだろうなー。かく言う私もその一人で、今は大人になったので
「自分はイイ子だったハズ。」と思いこんでるが浄土と天国の祖母二人は、顔を見合わして
失笑してるかもしれない。

淡々と流れていくおばあちゃんと孫の田舎での生活。
ただそれだけの話しなのだが、最後に悲しい訳でも泣きたい訳でもないのに
涙が出てしまった。しかもドッバーーンと。

予告無しの涙が思いきり出たので、座布団を丸めて畳でふて寝だ。
プール帰りのようなホワンと身体が温かい心地よい疲れ、畳の香ばしいにおい。
そんな夏に戻ったような映画です。



おばあちゃんの家
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by kohakuza | 2006-08-16 06:32 | cinema


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