何だか、うなされてたような気がするな〜。
暑さと寝苦しさで目が覚めたら、丑三つ時。真っ暗なリビング。キャ〜 うたた寝のつもりがすっかり寝込んでしまったみたいだ。 この真夏のまとわりつくような暑さに目が覚めると今度は中々寝付けない。 岩井志麻子著の「ぼっけえ、きょうてえ」を書店で目にしたのはもう随分前の事。 あまりに装画(甲斐庄楠音)のインパクトと言葉の不思議さに目が釘付けになってしまった。 いつもなら、取りあえずジャケ買い!のはずだが、どうもこの本の中から異様な 空気が流れてきてる。「ぼっけぇ、きょうてえ」とは「スッゲー怖い」って意味だったのだ。 短編だったのでそのまま書店で立ち読み、全部読まなくても独自の方言の語りかけが とてもオッソロシーかったので、結局その日ビビリの私は購入しなかった。 さてその数年後、私は仕事で岡山に訪れる事になり ふと、岡山と言えば・・・・?「桃」・・・じゃなくて「ままかり?」でもなくて・・・・ 岡山と言えば?・・・・・「ぼっけぇ、きょうてえ」!?と突然思い出し、 今度はいつもの古書店にて勇気を出し、購入することになった。 中身は期待以上の恐ろしさ。ホラーの賞を取ったらしいが、これは間違いなく怪談だ。 教えたら旦那さんほんまに寝られんようになる。…この先ずっとな。 時は明治。岡山の遊郭で醜い女郎が寝つかれぬ客にぽつり、ぽつりと語り始めた身の上話。残酷で孤独な彼女の人生には、ある秘密が隠されていた…。 岡山地方の方言で「とても、怖い」という意の表題作ほか三篇。 三篇に共通して、古い因習や差別感、迷信、悪習など今の日本がフタをして 表面化されていないが、今の時代にも確実にあるだろうタブーを包み隠さず書いている。 著者はこの時代の人間だろうか?と思ってしまう程、あっけらかんと書かれているのだ。 (と思ったら、現代に生きる彼女もタブーのパンチドランカーみたいな人でしたが) ただこの本、人によっては顔をそむけたくなるような描写の連続なので 万人にはお薦め出来ない。私の友人にも、いつものように「返さなくていいよ〜」と 軽く差し上げたところ、「家に置いてたら怖い」と言って、即帰って来た。 岡山出身の岩井志麻子さんの他の作品も同じようなテーマの怖い小説が沢山出ているが 私はこの「ぼっけえ、きょうてえ」が一番怖く、短く、濃いと思う。 三池崇史監督、主演の工藤夕貴で映画化された『インプリント 〜ぼっけえ、きょうてえ〜』は 全米公開が前提で、何とっ、セリフは全部英語!ちょっと観てみたい気はするが 本を読んで受けた恐怖感には、かなわないだろうなー。 それにしても岡山って、ミステリアスな場所である。 そう言えば横溝正史の「八つ墓村」も設定も元になった事件も岡山だったな〜。 山深い地域の緑は濃くて、日の明るさと対比してどこか神秘的で 私は大好きな地だけれど、その光と陰が色んな作家に恐怖のイマジネーションを 沸かせる理由の一つだと思う。 8月の眠れない夜に読むと、増々眠れなくなる1冊です。 ぼっけえ、きょうてえ 岩井 志麻子 / 角川書店
by kohakuza
| 2006-08-12 04:34
| Books
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